〈後編〉北京の蟻と鼠は大成を夢見る


地下空間の管理人の1人が孫と外で遊んでいた。彼の左腕にはナイフの刺青が掘られていた

続いて我々は北京市内の東四十條にやってきた。ここに建ち並ぶビル群の地下には、かつて防空壕とされた空間が広がっている。時を経て駐輪場となった地下空間は、さらに廃れた挙げ句、 地下室として人々に貸されるようになったという。

我々は、ネットで賃貸物件として出ていた地下室の1つを実際に借りてみることに。ひと月300元、日本円にして約5,000円。手持ちのトランクに一眼レフカメラを忍び込ませたのち、通訳を連れて地下へと下っていった。

写真右に見える緑色のビニール小屋が地下空間への入り口だ。周囲には地下住人の洗濯物が乾されていた
滑らかな坂をした地下への階段は、かつてここが駐輪場として使用されていたことの名残だ
地下空間にはたいていこの様な共同水場がある。朝は顔洗いや歯磨きの住民でごった返す

ちょうど管理人がいない時間帯を狙ったこともあり、潜入はすんなり成功。ここの地下は深くなく、数十段の階段を下りれば、すぐ地下空間が広がっている。それでも換気は悪く、湿気も感じられた。借りた部屋にはベッドと棚がそれぞれ1つずつあるだけ。僅か4平米にも満たない狭い空間だ。部屋というより、「ハコ」と表現した方が的確なほど、人が住むにはあまりにも色々な要素が足りていない。