〈後編〉北京の蟻と鼠は大成を夢見る


いよいよ地下室への扉を開くべく、我々はかつて地下室の引っ越し業務を担ったことがあるという個人引っ越し業者の人物を探し出した。匿名を条件に手助けすることに了解してくれた彼は、良 子(リャン ジー)さんだ。

28歳の彼は、およそ13年前に河北省から北京にやってきた。「ここ数年の北京の変化はとても大きいね。家賃は年々高騰するから、生活のプレッシャーも増す一方だ。北京は生活のテンポが非常に早く緊張感がある分、沢山のチャンスで溢れている。俺は故郷ののんびりとした生活が好きだけどね」

良さんに連れられる形で訪れたのは、三元橋という地域。周囲に立ち並ぶ高層マンションの数々を見る限り、地下空間が広がっているようには見えない。しかし敷地内にある、或る意味目立った小屋に「出租地下室」(地下室貸出中)と書かれた看板が掛かっていることからも、この地下に地下空間が広がっていることが分かる。

地下空間があるのは皮肉にも高層マンションに囲まれた場所だった。「地下室貸出中」の看板が見える