大橋 仁、人類の明るい繁栄のため全財産をはたいて酒池肉林を撮り収める。


Interview and text by Tomo Kosuga
初出掲載:VICE.com日本版 2013年

1万字越えのロングインタビュー、後編。前編を未読の人はコチラから

5b0e0190a8ec6dc605e1decb459cf9a2写真家・大橋 仁が、3rd写真集『そこにすわろうとおもう』を刊行した。A3サイズ、400ページ、23,000円。これだけのブッ飛び設定にもかかわらず、なんでも書店には並ばないらしい。

彼と話してみて感じたのは、大橋 仁が写真で追い求めるモノっていうのが、よく子どもがオトナにしてくるような〝困った質問〟に近いってこと。1作目が「死ぬってなに?」という問いかけだとすれば、続く2作目は「僕ってどうやって産まれてきたの?」。そして今回が「人はどうやって作られるの?」って感じ。

それぞれに対して答えるなら、「無になる」、「お母さんのおなかから」、「お父さんがお母さんのなかに入る」とでも答えればいいのかも。だけど、子どもってのはそんなんじゃ納得してくれないだろう。次第に、答えた側としても、ホントにそれで正しいのか分からなくなる。そもそもコトバで表現できるものなのか?と。いかなるときも万能だと思えた〝コトバ〟に、オレたちが裏切られる瞬間。

大橋の写真は、それくらいピュアな疑問を出発点にしている。だからかな、ものすごく刺激的なんだけど、たまに見たくもないものを見せられる場面があって、ドキッとさせられることも。つまりハッと驚かされると同時に、生理的な嫌悪感も感じるってこと(そしてそれは上で挙げたような質問をしてくるガキどもに対して抱く感情に近い)。

前置きはこのくらいに。とにかく彼から聞いた話をここに公開する。最新作のことはもちろん、写真を数で表現すること、恐ろしくホラーなご先祖様との意外な関係、果てには人類がいかに愚かでクズで無能かまで、彼の脳内で渦巻くモノを可能な限り、引っ張り出してきたぜ!