東北の森で野ジカを追い、その暗がりに太古日本のクオリアを見出す


光と闇、文明と自然を境界づけるもの

森の暗闇に飲み込まれまいと巨大なマグライトを差し込ませ、光と闇の合間にできた暗がりにシカの姿を捜す2人。しかし行けども行けども、シカは見つからない。ある時点で引き返そうと、Uターンのためにエンジンを切る白浜さん。そのとき、助手席にいた田附さんが手元のマグライトを助手席の窓外に向けた。その数メートル先に、それはいた。

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車内の田附さん。そして、その外に広がる森に佇む一頭の雌ジカ。ジープの車窓はそのまま文明と野生の境界線になった。

「それまでの俺は、夜を知ってるフリしてた。その森だって何度も通ってたから〝大体こんな感じだろう〟って憶測はしてたんだ。だけど実際は全然ちがった」

光と闇の境界線を見極めようとすれば無限の世界に突入するように、シカまでの距離は近そうでずっと遠い。