原発20キロ圏内に生きる男


1番の笑顔を見せたのは、ダチョウの背に寄りかかった時だった

2012年9月には、除染の見通しが立たないことやインフラ復旧が長引くことを理由に、富岡町の遠藤勝也町長は「今後5年間(事故から6年間)全住民は帰還できない」と宣言。また環境省によれば、国が除染計画を策定し除染事業を進める除染特別地域に富岡町は指定されているものの、事故から2年が経った今も除染計画の策定すら進んでいない。15,000人余りの町民は、現在も避難生活を続けている。

「俺の夢? とりあえず今いる動物だけはみんな助けたい。動物みんな一緒だべ。これ、かわいいべ?」。松村の気を引こうと、その袖を何度もついばむダチョウ。それを嫌がることなく優しく接する男の目尻には、いくつもの皺(しわ)が深く刻まれていた。

取材・撮影 Ivan Kovac & Jeffrey Jousan
文・構成  Tomo Kosuga