原発20キロ圏内に生きる男


松村直登さん、自宅にて。この一帯は現在も停電が続いており、右上に写るソーラーパネルで太陽光発電している。これでパソコンとケータイの電力はまかなえるとのこと

警戒区域内での暮らしも早2年。ある時期までは区域内での自給自足が主体になってきた松村さん。これが意味するのは、この地で放射能汚染された野菜や肉、魚を摂取してきたという事実だ。問題は内部被ばくである。被ばくには外部被ばくと内部被ばくがあり、前者がその場限りの影響なのに対し、後者は体外排出されるまで被ばくが繰り返される。なかには化学的性質によって体内の特定組織と結合するものもあり、被ばく量が局所的に大きくなるケースも。たとえば放射性ヨウ素131は甲状腺に取り込まれ、甲状腺ガンを引き起こすことはよく知られる。

「俺はここで外からも(放射線を)浴びて、中からも(食べ物で)浴びてた。で、ジャクサ(宇宙航空研究開発機構)の博士が俺のことを調べたいと。だから検査してもらったんだ。そしたら俺はチャンピオンだって。チャンピオン。(受けた放射線量がそれだけ高いと)どうなるんだ?って訊いたら、病気が発症するのは30、40年か先だと。その頃にはどうせ寿命で死んでっから構わない」。その際、この地のものは一切食べないよう教えられたという。現在は、検査をクリアした湧き水と、外から届く支援物資しか喉を通さない。「セシウム入ってても味は変わんないし、ニオイもないから」